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養育(援助・支援)方針

洗心寮 養育(援助・支援)方針

 洗心寮が目指す「援助・支援(養育)」は、子どもが自分の存在について「生まれてきてよかった」と意識的にも、また、特別の意識はなくてもそのように思うことができること、自信を持てるようになることを基本の目的とします。
 
 子どもが「生まれてきてよかった」と思い、自信を持てるようになるために、安心して自分を委ねられる大人の存在(養育者の存在)が必要となります。子ど もはその養育者によって、まず生きていることそのものを尊い、自分を大切な存在と受けとめられていくことによって、自分や世界(自分のまわりの人、もの、 こと、ひいては世の中)を受け入れ、それらに関心を向け、関心を持つようになります。
子どもとのこうした関係を形成していく過程を通して、生きる力を高めるよう培っていきます。 身体的な健康や成長の維持、促進のための日々の生活を学び、一方、他人や集団などの中で、それぞれ児童の特質に応じて、どのように関わっていったらよい か、生きていいくための知恵や技術、コミュニケーション能力を学んでいく必要があります。
洗心寮における援助・支援(養育)の基本は、一見何気ない日々の営みに中に絶え間なく24時間通して行われる日常的な衣・食・住の生活の中で、衣服をど う整え、着るのか栄養が足り、心のこもる食事の提供、質素でも大切に手入れされ、調和を考えられた住環境、さり気なく相手に配慮した言葉かけや振る舞い、 こうした一つ一つは些細なことともみえる日々の生活の積み重ねにより、児童と職員との関係で築き上げる安らぎのある環境づくりを目指しています。さらに、 様々な課題を抱える児童の援助・支援(養育)には、人の心身の成長や治癒に関わる専門性が求められており、児童の個別と集団し援助の実態と照合させながら 専門的・組織的に対応していくことが重要であると認識しています。
また、援助・支援(養育)に求められる愛情は、「子どもの存在」そのものをまずそのまま受けとめたうえで、適切な観察力と知見とを総合的に活用して、子 どもの特質、状態に即応した関わり方を個別に行うことにあると考えます。外見的にやさしい言葉かけや行為にとどまらず、それらが適切な持続力と寛容さをと もなう配慮に裏打ちされたものであることを目指していきます。このような考え方に立って、以下のような具体的方針に沿って、児童の援助・支援に努めていくこととします。

(1)無差別平等の原則、子どもの最善の利益の保障

 洗心寮の子どもたちは、どのような条件によっても差別することなく、子どもの最善の利益を第一とした適切な養育や支援を受ける権利が保障されていると認識している。
洗心寮への入所に際しては、子どもや親等に対して寮での生活や支援内容を説明し、入寮に関する子どもの意見や思いを聞き、同意を得るように努める。
児童相談所との連絡調整を密にし、入所後の子どもの環境の変化などに伴う不安を軽減し、新しい環境を学習し適応するための援助に取組む。

(2)人権の尊重、人としての尊厳にふさわしい生活条件の確保と援助

 洗心寮の子どもたちは、人としての尊厳と人権を守られ、人としてふさわしい生き方に必要な保護や援助を受け、プライバシーに関しては慎重な配慮がなされる。
寮の生活環境・生活条件や援助・支援の内容については、現代の子どもたちの平均生活水準を一つの目安として配慮し、集団生活の場である寮の生活時間・日 課の設定に際しても、子どもたちとよく話し合い、人権や教育的配慮のもとで、子どもたちの意見や思いをできるかぎり寮の生活の中に生かし、また、行事や決まりごとなどについて、理解が進むよう丁寧な説明を行なう。

(3)情緒の安定と自己意識・帰属意識の尊重

 洗心寮の子どもたちは、職員との継続的な人間関係と一貫性のある援助・支援、寮の中で安心できる居場所を保障し、これらによって子どもの情緒の安定が得られ、心の拠り所となるような生活環境の確保に努め、これにより洗心寮への帰属意識が醸成されるよう支援に取組む。
 

(4) 個別、個性への援助、自己実現・社会的人格形成への援助・支援

 洗心寮の子どもたちは、寮の生活全体においてその発達の度合いや個性、個別性にふさわしい配慮を受け、かつ、それぞれの発達が援助・支援され、さらに、子どもたちがその可能性や個性を最大限に実現し、社会の中で主体的に生きることができるよう人格の形成に努める。

(5) 個人と集団への統一的な援助、共に育ち合う関係の形成へ向けた援助・支援

 洗心寮の子どもたちは、孤立や本人が望まない孤独になることから守られ、適切な寮の集団生活の中で成長し、個人としての人格形成と集団生活での自己実現などがバランスよく実現されていくよう配慮した支援に取組む。

(6) 主体的選択の保障

 洗心寮の子どもたちは、その発達の度合いに応じて自らの行為を主体的に選択できる機会を保障され、試行錯誤による行為やその理解力が及ぶ範囲で一定の行為をなすことも子どもにとっては貴重な体験であることとして尊重される。

(7) 意思表明の権利の保障

 洗心寮の子どもたちは、その子どもに影響のあるあらゆる事柄について、自分の意見や思いを表明する権利を持っており、その際、子どもの意見や思いがそのを子どもの年齢及び成熟に応じて十分に尊重される。

(8) 教育を受ける権利の保障

 洗心寮の子どもたちは、義務教育はもちろん希望と能力などに応じて、幼児教育、高等学校教育等が受けられるよう必要な援助が受けられるものとする。

(9) 親・家族と育ち合うことへの援助と親の恣意的ふるまいなどからの保護

 洗心寮の子どもたちは、親や家族との結びつきや共に育ち合う関係の形成を尊重され援助される。また、教育的な配慮のもとに親、家族に関する情報を提供さ れ、その情報について十分な説明を受ける。また、子どもたちは親権の濫用から守られ、その際には児童相談所との連携を密にした対応に取組む。

(10) 社会生活の準備の保障と社会生活への参加の援助

 洗心寮の子どもたちは、将来社会人として充実した生活をするために必要な体験・学習・教育の機会を保障する。そのため、職員は洗心寮が地域社会に開かれた施設の運営に努め、子どもたちが地域社会の中で様々な体験などに参加できるように配慮する。
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